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No.254 ナースウェアから見る歴史

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ナースは、正式に看護師として医療現場で活躍しています。しかし、それはウェアと呼ばれる制服が歴史を物語っています。患者さんと接するドクターの他、ナースも医療での第一線に立って様々な病気に立ち向かいながらも、看病などで活躍しています。

白衣が語る歴史

ヨーロッパでは中世以降、病人の看護に宗教界が関わるようになりました。丈の長い服を身に着けた尼僧がその役割を担い、後世の看護服においてもその影響が残ることとなります。
19世紀に入ると看護活動は、フローレンス・ナイチンゲールによる戦争負傷者への献身的対応などを代表に、評価すべきものとして注目され始めます。それを契機に看護の重要性が再認識され、世界に広がる流れとなりました。
それに合わせて、ナースの服装もより機能的な形へと変化します。
白色エプロン、帽子(のちのナースキャップで、採用当時は大きいもの)、シューズには白いブーツ(ショート)といった様相が主流となりました。尼僧が着用していた長い服から長袖こそ残りましたが、黎明期の頃と比べて動きやすくなったと言えるでしょう。
この時点で看護師のためのユニフォームの概念が生まれ、これから発展していく医療やナースの歴史と共に歩んでいくこととなります。

第2次世界大戦まで

ナースの制服としての歴史は、1920年代になっても前述の制服と基本的な変化は見られませんでしたが、スカートだけは例外でした。
ロングだと動きにくくなるため、長さはふくらはぎの丈までに短縮されました。
1940年代になると、第2次世界大戦の影響がナースの服装にも現れるようになります。アメリカの海軍病院では、全般的に看護師の制服が黒に統一され、スカートは膝丈まで短くなり、靴は通常の革靴に変更されました。
日本における看護の歴史に視点を移してみましょう。
看護師育成教育が日本に導入されたのは1885年。初期の看護師の平常着には、筒袖の上着と袴に近い長さのスカートという洋装が用いられました。
その後、1937年には看護士を救護要員として戦場に送り出すため、看護活動の組織化が図られます。これに併せ、制服もワンピース風に変更されました。

戦後から現在へ

世界大戦終息後、社会が回復していくのに伴い、女性の社会進出を伴う権利などが確立されていく風潮となっていきます。病院の内部では、従来の制服では動きにくいなどの問題点が見直され、袖とスカート丈が短いタイプが主流となりました。
日本では、環境衛生法や保健衛生法が制定され、白衣は常に清潔なものを着用することが義務付けられることとなります。デザインに関しては、袖とスカートの丈を短くし、ナースキャップは小型化され、白衣は綿100%のものを使用するようになりました。
自動洗濯機が販売されるようになると、ナース服も洗濯が容易にできる素材へと変化していきます。
1990年前後辺りになると、ワンピーススタイルに代わる新たなナース服として、スクラブ生地を使用したタイプが普及していきます。上着がVネックでパンツ(いわゆるズボン)スタイルや色の種類を増やすなど機能的にも向上しました。
なお、ナースキャップに関しては使用を取りやめる病院が増えています。

■まとめ
ナースの制服の歴史は、医療現場における看護の歴史を象徴するものと言えます。今後も、看護業務に期待されるニーズの多様化に伴い、それらに適応する形状へと変化していくことでしょう。
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