No.415 ナースたちの本音とリアルな声
命と向き合う緊張感、感謝の言葉に励まされる日々、そして表に出しにくい戸惑いや葛藤…。日々の業務の中で揺れ動くナースたちの“本音”を知ることで、より深く看護の仕事を理解し、尊重することができます。本記事では、現場で働くナースたちのリアルな声と、その背景にある想いを丁寧に紐解いていきます。
「やりがいはある、でも正直しんどい日もある」
ナースの多くが語るのが、「やりがいとしんどさは常に隣り合わせ」という現実です。患者さんに「ありがとう」と言われたときや、状態が回復したときにはこの仕事を選んでよかったと思える反面、突発的な急変対応や人手不足のなかでの過密業務に、「もう限界かも…」と感じてしまう瞬間もあります。
特に夜勤明けや多忙な日には、トイレに行く時間すら取れず、食事を抜くことも珍しくありません。「患者のケアを優先しすぎて、自分のケアができていない」という声が多く聞かれます。体力だけでなく、気力も奪われる現場――それでもなお踏ん張る理由は、「目の前にいる誰かのために」という使命感です。
「ミスが許されないプレッシャーが常にある」
看護の現場では、小さな判断ミスが命に関わる可能性があります。薬の投与量、処置のタイミング、報告の内容――すべてにおいて正確さが求められ、「うっかり」や「見落とし」が許されない環境です。
ナースたちは日々、緊張感の中で働いています。「常に完璧を求められている気がして、心が休まらない」「一度の失敗が大きな自責につながる」という声も多く、真面目で責任感が強い人ほど自分を追い込みやすい傾向にあります。それでも、「誰かの命を支えている」という意識が、日々のプレッシャーを乗り越える力にもなっています。
「患者さんと深く関われるのは嬉しい、でも感情の切り替えが難しい」
ナースは患者さんの生活や人生に深く関わる存在です。入院生活の中で信頼関係が育まれ、時には家族のような距離感になることもあります。だからこそ、看取りや別れの場面では強い喪失感を覚えることもあります。
「退院していくときは嬉しい。でも、亡くなったときは、涙が止まらなかった」――感情を抑えることが求められる仕事でありながら、人間としての感情も確かに存在します。職業人としての自制と、人としての共感。その間で揺れ動くことこそ、ナースの本音であり、本質でもあるのです。
「人間関係が一番大変かもしれない」
ナースの職場では、スタッフ間の人間関係が業務のしやすさを大きく左右します。特に女性が多い職場では、先輩後輩間の空気、派閥、陰口などがストレスになることもあります。「患者対応よりも、スタッフとの関係のほうが疲れる」という意見も少なくありません。
一方で、「困ったときに声をかけてくれた」「忙しいときに自然と助け合えた」というエピソードも多く、チームで支え合うことができた経験が働き続けるモチベーションになることもあります。信頼し合える仲間がいる職場では、困難な状況も乗り越えやすくなります。


